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- 患者さんのこころのケア
新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様には、こころよりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復をお祈りいたします。
全世界的な感染流行下において、罹患された皆様には、身体だけでなく、こころにも大きな負担がかかっていると思います。
このページは、皆様のお気持ちが少しでも楽になることを願って作成しました。
1. こころの反応について
〇 病気になった時のこころの反応
体とこころはお互いに影響しあっています。病気で体が弱っているとき、誰もがこころに負担を感じ、様々な思いを抱きます。
- どうして自分ばかり苦しい思いをしなくてはいけないのか
- 周りの人に迷惑をかけて申し訳ないと自分を責めてしまう
- あのとき、こうすれば(しなければ)、病気にはならなかったのに
- このまま病気が良くならないのではないか
- 他の人とつながれないことによる寂しさや孤独を感じる
このようなこころの反応は特別ではなく、普段の体調不良のときにも起こりえる、とても自然な反応と考えられます。新型コロナウイルス感染症は、世間が大きく取り上げているので、特に強く感じてしまうかもしれません。
〇 社会的状況に対するこころの反応
テレビやインターネットのニュースを見ていると、これまでの病気に比べて、次のような気持ちを、特に強く感じてしまうかもしれません。
- 差別されるかもしれないという恐れ
- 仕事を失ってしまうかもしれないという恐れ
- 死んでしまうのではないかという恐れ
これらも、当然の反応といえますが、このような辛い気持ちが長く続くと、こころに不調をきたしてしまう可能性があります。
こうした事態が今あなたのこころへどれだけの負担をかけているのかを確かめるために、こころのチェックリストを作成しました。
“こころのチェックリスト”
- 眠れる気がしない、または食欲がない
- 焦りや危機感ばかり感じて、落ち着かない
- 一日中涙が出たり、虚しさを感じたりする
- 過去の行動を悔やんでばかりいる
- 周りに迷惑をかけていると強く思って自分を責め続けている
- 何かをしたい、楽しみたい気持ちに全くなれない
- 治療を受けたり、病気を治そうと思えない
- このまま消えてしまいたいと思う
1つでもあてはまれば、こころに負担がかかっている状態と考えられます。
主治医や看護師さんに今のあなたの気持ちをお話してみてください。
- 染矢俊幸. 一般臨床医・精神科医のためのうつ病診療エッセンシャルズ. メディカルレビュー社, 2017.
- アルバート・マイケル (澤田法英, 渡邊衡一郎監訳). 読むだけでコツがつかめる 問診力トレーニング. アルタ出版, 2010. を参考
2. 自分でできるこころのケア
今の状況で心配や恐れを感じているのは、こころが正常に機能している証です。しかし、それも続くと疲れてしまいますので、リラックスの方法をご紹介します。体の具合が悪いときには難しいと思いますが、調子が良いときに試してみてください。
〇 ほっとする時間を作る
TVやインターネットなどの情報から離れる時間を作りましょう。
新型コロナウイルス感染症関連のニュースから離れて、音楽を聴いたり、本を読んだりして、リラックスできる時間をもつことが大切です。
〇 身体の緊張をほぐす
一息つける時間を作ったら、3秒かけて鼻から静かに息を吸い、6秒かけて口から細く息を吐きます。息苦しさを感じる場合はもう少し長く息を吸っても構いませんが、息を吸う時間を吐く時間より短くすることがポイントです。
身体の部分に一つ一つ意識を向けて、息を吐く時に一緒に力を抜いていきます。「おなか」、「胸」、「肩」、「二の腕」、「首」、「あご」、「眉間」、「額」などです。
呼吸の症状が強いときは無理をなさらないようにしてください。
体の調子が良い方は軽い運動も良いと思います。主治医と相談して、どの程度の運動なら良いのかを検討してみるのもいいかもしれません。
以下のサイトではリラクセーション法がわかりやすく紹介されています。自分に合った方法を探してみましょう。
- 大阪府健康医療部こころの健康総合センター・リーフレット『気軽にリラックス』
〇 つながりを保つ
「迷惑をかけるかもしれない」と思って平静を装うよりも、今の不安な気持ちを話せる相手を見つけましょう。
家族や友人と電子メールや電話、ソーシャルネットワークサービスを通じて連絡をとり続けましょう。親しい人に不安な気持ちを言葉にするだけで、こころにかかる圧力は減らせます。
- IASC「新型コロナウイルス流行時のこころのケア(日本語版)」を参考