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- 自殺対策
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響は、健康問題だけでなく生活不安・経済不安などから自殺リスクの増加につながります。同様の事例である2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時には、香港での自殺率が過去最高レベルまで上昇したことが報告されています。(Cheung et al., 2008)今回の新型コロナウイルスについても、すでに医療従事者の自殺や対応を迫られる行政職員が自殺したニュースなどが世界中で報告されており、今後日本でも自殺者が急増していくことが想定されます。
1. 自殺に至る要因
社会が多様化する中で、地域生活の現場で起きる問題は複雑化・複合化しています。そのような問題が深刻化し、複数の問題が重なり合うことで心理的視野狭窄状態になると、自殺以外には現在の苦悩から解放される方法はないと思い込み、自殺に至ると考えられています(図1)。新型コロナウイルス感染症の流行期では、失職や休職、倒産による経済的困窮、医療職などの職種においては過労、外出自粛に伴うフラストレーションならびに社会的孤立が大きな問題になると思われます。自宅での生活が長期化すれば、育児や介護負担、家庭内暴力、虐待リスクが増加する可能性もあり、注意が必要です。
2. 自殺対策としてできること
平成18年に「自殺対策基本法」が成立して以降、様々な自殺予防対策がとられたことにより、自殺者数は減少の一途をたどっています(図2)。このように自殺は予防対策により減少させることができます。
◯ 自殺予防対策として以下の方法を紹介します。
- 社会的孤立を防ぎ、悩みを抱え込む前に早い段階で相談しましょう。
- »SkypeやTV電話の活用、メールを利用してみましょう。
- »公的な機関に相談しましょう。下記が例に挙げられます。
- 「いのちとこころの支援センター」
- 「新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談」
- フェイクニュースによる自殺が報告されています。(Goyal et al., 2020)ソーシャルメディアとは距離を保ち、公的機関など信頼できる情報源だけ確認するようにしましょう。
- 例えば
- 「新型コロナウイルス感染症について」
- アルコールやゲーム依存の問題は、自殺の危険性を高める可能性があります。普段よりも飲酒量やゲームの時間が増え過ぎないように意識しましょう。
- 自殺念慮のある人には、「TALK」の原則で対応しましょう。
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最後に、自殺念慮を認めた場合は、速やかに精神科の受診を検討して下さい。治療で救える命があります。